2013年4月15日月曜日

iPadのePub Reader

iPadのePub Readerについて、次のようなものが欲しいと書いた。

(1) しおり、ハイライト、ノートがマックの汎用ePubソフトでも読んだり編集したり出来る(Mac上ではAdobe Digital Editionを使う)。
(2) DropBox経由でMacと同期できる。
(3) 内蔵辞書、単語のコピーに対応 (Kindleはコピーが出来ない)。内蔵辞書にない単語はEP WINGの辞書で調べるから、単語のコピーを許さないアプリは不可。

このうち、(1)と(2)は基本的に無理で、ただしパソコンとiPadで同じアプリを使うとノートやハイライトの同期が可能なものがある、ということが分かった。ネットを経由して、そのサイトに登録して、自分のIDとハイライトやノートを紐づけるので、ある意味簡単ではある。

私がしたいことは、iPadで本を読んだりハイライトして、パソコンでそのハイライトにノートをつけたりハイライトを編集したりして、さらにその結果がiPadに反映される、というわりと単純なことだ。それをするのがこんなに難しいとは思わなかった。いろいろ見て行くと、Dropboxとの同期に対応していることを売りにしているアプリは二つあるけれど、どちらもノートがとれない。多分ハイライトやノートはオリジナルのファイルに書きこまれるのではなく、何らかのメタデータファイルとして別に存在するのだろう。


そうだとすると、とにかくどんな形でも良いからパソコンとiPadでノートやハイライトを共有できることが重要だ、ということになる。その場合、最も簡単なのはKindleだ。MacでもiPadでもkindleで読むことにすれば良い。ただし、KindleはePubファイルは読めないので、一旦Kindle固有のmobiファイルに変換して、それからそのファイルをKindleに転送してやる必要がある。ePubからmobiへの変換はCalibreなどいくつかのソフトウェアで可能で、Kindleへの転送はAmazon のアカウントサービスでMy Kindleアカウントを調べてそこへメール送信を行うことで可能だ。但し文章や単語のコピーは出来なくなる。

(Kindle Personal Document Serviceを利用することをこの文章では考えていたのだけれど、Kindle Personal Document Serviceはパソコン用のKindle アプリには対応していないことが分かった。と言うことは上記の「同期」は出来ない。なんか、「Sigh!」って感じ。パソコンのKindleフォルダに入れれば読むことは出来るのだけれど…………

Windowsなら、NeosoarBookがノートとハイライトの同期を売りにしているが、残念ながらiPad, Android, Windowsのみだ。Windowsの人はNeosoarBookに登録すると、ePubファイルのままで何とかなるようだ(実際に試してはいない)。ノートの同期とテキストのコピーの両方が可能なePubリーダーは他にないような気がする。頑張ってNeosoarBook! Mac版も出して!(やってみると、日本のAdobe IDではできなかった)。

Macの人は、Kindleを利用し、文章の引用の必要があるときはもとのePubファイルを使うか手打ちするかになる#1。KoboもKindle同等のことが出来るはずだが、iPad上のKoboはePub形式の洋書を読むと不安定で、ノート、ハイライトが出来るはずなのに実際はノートをつけようとすると落ちたのでよく分からなかった。
#1シェア機能を利用し、facebookやtwitterに引用(とコメント)を転送することは出来るようだ。鍵付きのtwitterアカウントにしてtwilogを利用するなら、簡単な引用データベースにはなるのか。参照元

以下、代表的なePub Readerに関して上に書いた機能を比較してみた。日本語のことは想定していないので、各ソフトが日本語のePubファイルをどれ位きちんと表示できるのかは知らない。PC同期で△にしているのは、DropBoxアプリから「…で開く」に対応しているが、iPadでつけたメモやハイライトをMac(PC)に再び戻すことが出来ないものである。
どのソフトを使うにしても、DRMの問題は残る。Koboで買った本をKindleで読むには、KoboのDRMを外さねばならないだろう。Kindleの本をePubにするためにもそうだろう。自分で購入した本のDRMを自分で読むためだけに外すことの合法性については(そんなもん違法であるはずがないと思っていたら)、議論があるらしい(2012年の著作権法改正の結果)。電子書籍のDRMが改正著作権法で禁じられている「暗号方式による技術的保護手段」にあたるとは思えなかったのだけれど。駄目な感じ。もしそうだとしても罰則は今のところないようだが(損害賠償請求の可能性はある)、公務員としては出来ないなぁ

(これは現在のところ音と映像の著作物の話で、電子書籍にはまだ拡張されていないみたい。よかった。)

合法性はともあれ、こんなDRMがかかっている限り、電子書籍は伸びないだろうなぁ。今のままだと、すべてのDRMに対応したリーディングアプリが現れないかぎり(結構多くのに対応したのはあるみたいだけれど)、買う本屋さんが作っているだけのハードか、少なくともそれらがアプリ化されているiPadを持たないと、自由に電子本を読むことは出来ないのだから。iTunes Musicみたいに、購入者(基本的に名前は分かっている。クレカ購入の場合には追跡も出来る。iTunes Cardの場合でもIDに一定の持続性があってApple IDで他の何かを買っていれば住所などもわかり民事化は容易そう)のApple IDと名前をどこかに埋め込むことで抑止効果にはならないのだろうか。(次の項目に続く)



PC同期ノート等内蔵辞書コピーその他特徴
iBooks×△*1iOS上では購入したもの同士のノートは同期。
Kobo*2×Adobe Digital Editionでも読めるが同期はしない。
Bluefire
Reader
×
NeosoarBook×内蔵辞書がポップアップでなく画面上書き
JapanReader×〇*3独自辞書は単語帳レベル。但し仏和・独和等もある
Kindle*4〇*5×
Stanza×単語選択までに一手間余計にかかる。
Apabi Reader××
Booc〇(Drop box)××有料の独自辞書の宣伝がでる。英韓のみ。
BookReader〇(Pro)
(Dropbox)
×××単語選択不可。そもそもまともに表示しない。
Gitden Reader×
e-reader×
ReadMill


*1 英々と英和の切り替わりの規則が不明。
*2 Koboで買ったものはPC上のKoboとiOSのKoboと同期。それ以外のePubは駄目。
*3 内蔵辞書は独自のもの。
*4 mobiファイル。ePubから変換し、Kindleに転送する必要がある。
*5 独自辞書(プログレッシブ英和だから、内蔵と同じ辞書)

2 件のコメント:

  1. いろいろやってみると駄目なものが多かったので線を引いたり修正を入れたりした。次の項目も参照。

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  2. Kindle、KoboのDRM解除は簡単そうだし違法ではないが、KindleのDRM解除はAmazonの利用規約に反する。それをおこなった途端、Kindleの契約は解除され、すべての内容は削除される。読者はKindleのコンテンツを買ったわけではなく、それを読む権利を条件付きで得ているに過ぎない。その割に安くないけれど。
    Koboについては、利用規約はもうちょっと曖昧。「Koboが明示的に認める場合を除き、登録ユーザは、これらの電子コンテンツのいかなる内容についても、部分的に又は全体として、変更、複写、配信、フレーム付加、複製、再版、ダウンロード、表示、投稿、送信、出版、譲渡若しくは販売への参加、二次的著作物の創作、配信、上演その他いかなる利用もすることはできません」(http://www.kobobooks.com/termsofuse)だそうな。ハイライトやコメントは別ファイルなので「変更」にならないのだろう。Adobe Digital Edition版(DRM付きepub)をダウンロードしてADEで開いても、コピーは封じられている。DRM解除がそれ自体規約違反かどうかはこの箇所からは分からなかったけれど(内容の変更になるのかしら)、DRM解除版を作って単語を調べるためにコピーしたら疑問の余地なく規約違反だ。

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