赤旗に、平田オリザの「冒険王」「新・冒険王」の劇評を掲載していただきました。
「冒険王」は初めて観たときに、目の前にいる若者たちがまるで自分自身の過去のように見えて、とても衝撃を受けた作品です。久しぶりに観返して、同じ感触は抱いたものの、衝撃はそれほどでもなかったのは、二回目だからなのか、それとも私が年をとったからなのか…
出会ったことがない何かをダラダラと待っているという感覚は、20代終わりの頃の自分の感覚そのものでした。
「新・冒険王」は、テーマはやや違ってゆきますが、これも面白い作品でした。
アテネの知り合いに昔聞いたのですが、シェンゲン協定以前、ときどきトルコに行くと、(出国→入国)でヨーロッパにノービザで居続けることが出来ました。「冒険王」にはそのころの状況が反映しています。その知り合いもそうしてアテネに十年以上暮らしていて、登場人物の一人によく似ています。ギリシアがEUを脱けるとアテネはまたそうした感じになるかも知れません。