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2017年12月19日火曜日

TLG Abridged でギリシア語を読む

TLG Abridged 再訪 (パソコンでギリシア語を読む)

Thesaurus Linguae Graecaeは古代ギリシア語の全文献を収めたテキストデータベースで、かつてはCD版で配付されていたが現在はWeb版のみになっている。五年で500ドルくらいのサブスクリプション費用がかかる。CD版の頃はいろいろなソフトウェアが開発されていたが、ライセンス切れと同時にCD版を返却するシステムなので、もう全員がWEB版に移行したためソフトウェアはなくなってしまった。(Diogenesだけなぜかまだ残っている)。
私自身、すべてのギリシャ語データにアクセスして統計的調査をする、ということを殆どしなくなったのでTLGのサブスクリプションを止めてから随分立った。その代わりに無料のTLG Abridgedが、そこに収録されているテキストを読むために不可欠のサイトになっている。久しぶりのブログはそちらの紹介。
TLG Abridgedのサイトに入ったらまずアカウントを作る。Visitorアカウントは無料。若干の検索もできるみたいだが、取り敢えずは「ギリシャ語テキストを読むため」に利用するので、General (Greek表示とGreek Input)とBrowse(一ページ行数) の設定だけしておく。
それでBrowseタグをクリックして出てきたボックスに読みたい作者名を入力、作品を選択してページを選ぶと読み始めることが出来る。
意味を調べたい単語があれば、クリックで右に項目が出て、LSJをクリックするとその項目が(単語の分析はPerseusのよりも確実)別タブに表示され、これが(ブラウザの機能なのだが)便利なところなのだけれど、そのタブを外に出せば、単語を調べる時にはその同じ窓で更新される。
私が『詩学』読んでいる時ってこんな感じ(左上がテキスト、右上が自分のノート、左下がLSJ、右下がいろんなコメンタリー(自炊PDF。PDF用のタブブラウザを使い、タブで切り替えるようになっている)。このために4K対応のモニターを購入したけれど、解像度も大事ながら、画面の物理的な大きさも大事だと実感しているところ。英和とか独和が裏に回るか別画面になって少し面倒くさい(ノートパソコンの付属のモニターを○和辞書専用にしているけれど)。

2015年4月5日日曜日

iPhone, iPadでギリシア語を読む (Loeb, TLG Abridged)

(1) Digital Loeb

iPad などのiOSでギリシア語の文献を読むには、基本的にはウェブでPerseusサイトへ行くのが簡単だろうと思う。あるいは、Perseus4.0の幾つかのテキストと辞書を組み込んだ学習用ソフトウェアを用いるのも良いかもしれない。(無料ので一番まともなのはLogos Bibleの Perseusセットだけれど、導入がやや面倒。)
Perseusサイトの難点は、収録作品がまだ少ないこと、著作権切れのものを中心とした翻訳が古めかしいものが多いことなどだけれど、いちばんの難点はサイトのスピード。いらいらするほど遅い。学習用ソフトの難点は、作品が少ないこと、辞書連携がまともでないものがあることなどだ。
で、初年度195ドル年会費65ドルでLoeb Classical Libraryのすべての作品が読めるDigital Loebだと、iPadの利用感はどうなのか試してみた。勿論、ギリシア語の専門家はThesaurus Liuguae Graecae (TLG)のウェブサイトを利用するだろうけれど、それはiPhoneでちょこちょこギリシア語を読みましょか、みたいな需要には大がかりするように思う。お値段のことは置いても、英訳がないのはちょい読みには不安だ。Loebは基本見開きで左頁にギリシア語、右ページに英訳なのだけれど、左頁だけの表示にすることも出来るし、iPhoneならいっそ見開きのまま、左側だけを画面に入れておいて、悩んだら右ページをすっと見るとかでもよい。後は EBPocketのLSJないしintemediate Liddellとの組み合わせでサクサク)。Digital Loebの方でiOS用のアプリ作ってくれるとありがたいんだけれど…

ちなみに、iPhoneを横にしてメナンドロスの「辻裁判」を表示して単語調べたりしているスクリーンショット。選択部分を長押しすればcopyの指示が出るのでコピーしてEBPocketへ移動すると単語が調べられる。鉛筆マークをタップすればメモも取れる。
Digital Loeb (iPhoneで)
EBPocket

TLG Abridged

私のTLGのアカウントは去年失効してそれからサイトに行っていなかったんだけれど、久しぶりに行ったら、Abridged TLGというのが無料で使えるようになっていた。最初に登録は必要だけれど、そんなに面倒ではない。翻訳へのリンクも(オンラインに翻訳が確認できる場合)ページごとの対訳にはなっていないけれど一応あるし、単語をクリックしたら右側に原形や辞書へのリンクが並ぶので、結構便利に使える。この変化形分析は多分PerseusのものなのでやっていることはEBPocketとまあ同じ。辞書へのリンクが、Safari内の別窓で開く。読んでいる場所のブックマークは出来ないみたいだけれど。
パソコン上のスクリーンショット(部分)とiPhoneでのスクリーンショット。iPhoneだとやや狭いがiPad mini (横)だと充分使い物になる。ギリシア語テキストを二つ横に並べて表示するモード(Parallel Browsing)もあり、これも使いようによっては便利そう。
パソコンでのTLG abridged
iPhoneで


2014年9月12日金曜日

MacでEPWING for Classics(ギリシア語辞書データ)を使う

EPWing用のギリシア語辞典データEPWING for Classicsの使い方は自分のサイトで前に書いたことがある。まずWindowsでの使い方、およびiOSでの使い方だ。
ただ、そこではMac OSでの使い方については触れていなかった。辞書として使うには何の苦労も要らず適当なフォルダにコピーしてEBMacから認識させてやれば良いだけなんだけれど、それだけだと、検索文字がローマアルファベットになってしまい、また、ギリシア文字が汚い(ユニコード・フォントにならない)。
で、それを回避するために、EPWING for Classicsの「ダウンロード」ページから、EBシリーズ専用ファイルをダウンロードする。ここで必要な書類は、alternate-v3.iniとCLSEPW.plistの二つ。作業手順は以下の通り。
(1) alternate-v3.iniをalternate.iniに名称変更。
(2)「アプリケーション」フォルダからEBMacを右クリック(二本指タップ)、「パッケージの内容を表示」を選択。
(3)パッケージの中の Contentsフォルダ→Resourcesフォルダを開いて、そこにCLSEPW.plistをコピー
(4) 次にFinderで、オプションキーを押しながらメニューの「移動」をプレスして「ライブラリ」フォルダを表示。ライブラリ→Application Support→EBMacを開いて、そこにalternate.iniをコピー。この「ライブラリ」はユーザフォルダの直下にあるものの方。「システム」の直下にある「ライブラリ」にはApplication Supportフォルダがないはず。

これまでCLSEPW.plistをどこにコピーすれば良いのかが分からず、ギリシア文字が汚いまま放置していたのだけれど、上手くいったので報告。

CLSEPW.plistコピー前
CLSEPW.plistコピー後

2013年4月24日水曜日

先生はPerseusのデータが古いことにお怒りのようです

以下の内容は、私のサイトの「電脳ギリシア語」の補足。

西洋古典学会がウェブページを開いた。雑誌の英語版を出したことと並んで喜ばしい。そのなかに「古典学の広場」というページがあって、わたくしのお師匠様のお一人である森谷宇一先生が、ご自分が中心になって翻訳されたクインティリアヌスの『弁論家の教育3』の翻訳方針について「巧みで気がきいてはいるがやや不正確でずれた訳になるぐらいなら、愚直で不器用ではあるが正確な訳をわれわれはめざす」などと、ちょっと……(まあ先生らしいなぁ)なことを書いていたり、兄弟弟子の渡辺浩司さんが分担して関わったルキアノスの新しい訳について「古くて新しいルキアノス」という、ストラヴィンスキーとルキアノスはどっちも田舎者なので普遍性を得たよね、みたいな、分かるけれど強引な紹介を書いていたりしている。「なのに」ではなく「なので」と言えるかどうか……

さて、その中に、納富信留さんの「ギリシア語の辞書—LSJとその歴史」というページがあって、LSJ(Liddell Scott Jonesと呼ばれる希英辞典)の歴史について紹介して下さっている。簡単にまとめると、SchneiderはPassowを生み、PassowはLSを生み、LSはLSJ(1924)を生み、こうしてLSJ(1940)が生まれた…と。
LSJのその後の改訂については触れられていないなぁ、と思っていたら、そこにこのエッセイのテーマがあった。
LSJも無論完全ではない。語義の区別や説明には不十分な点が多く、時に誤りもある。スペイン語などの言語で新たなギリシア語辞書作りも進んでいるが、今日に到る大事業を始めたリドルとスコットも、もし現代に生きていれば決して現状に満足することなく、本格的な増補や改訂を加えようと思うのではないだろうか。
すこしとんで
無料や安価な電子媒体でLSJ(旧版)の文字情報だけを見ながら、なにかギリシア語を読んでいる気になるのは、西洋古典学という学問からは程遠い態度に見える。私もiPod用のLSJ(1924年版?)のデータを数百円で買ったが、そこには「序言」も「略号表」も付いていない。本当に古典を読めるようになるのは、受け継いだ文化遺産を徹底的に反省しながら、それを越える新たな道具を私たち自身が作っていく時ではないか。
最後の文章は私には普通の意味で理解出来なかった(古典を本当に読めるようになるのは大変だ、ということは分かった)が、それはともあれ、PerseusプロジェクトがLSJの最新版を無料で提供できなかったのは、それはOxford大学の著作権を侵害することになるからで、それでも、辞書情報、語形分析情報やテキストを電子化してオンラインで無料で提供し、著作権保護の切れた、ただし価値の高い注釈や翻訳も提供する(著作権フリーではない翻訳も一部含まれている)ことは、学生がギリシア語をより身近に、より深く学ぶための手助けになるという信念があったからで、その信念は「安上がりで済ましてギリシア語を読んでいる気になるなんて本物じゃない」という信念とは正反対だ。私はPerseusの信念に賛同する。高い辞書と高いテキストを買わないかぎり「ギリシア語を読んでいる」ことにはならないのだとすれば、無料や安価な電子媒体でLSJ(旧版)の文字情報だけを見ながら何かギリシア語を読んでいる気になっている人はいったい何を読んでいるのだとお考えなのだろうか。

もし「序言」と「略号表」がついていないことが問題なら、それをネットで公開すればいいだけのことだ。実はその必要はなくて、無料のEPWINGS for the Classicsにはきちんと序言と略語表がついている。データのオリジナルを提供したPerseusサイトの辞書にもあるんじゃないのかしら?

それでも、「西洋古典学」という学問をするにはPerseusが提供しているLSJでは足りない、というのは当たり前の話で、資源はあればあるほど良いし、LSJだって最新版が欲しい。Logos Softwareのおかげで、130ドル出せばiPhoneでもiPadでもパソコンでも読めるLSJ(1996)が手に入る。補遺部分も本文に組み込まれている。素晴らしい。年百ドルくらいで、TLGへの登録が出来る。「文化遺産を徹底的に反省」するにはTLGは不可欠だ。プロはそうすればいいし、そうしているでしょ。Perseusデータだけで「古典学」研究をやっている人などいない。でも、そのレベルを「ギリシア語を読む」ことにまで拡張しないでほしい。「金を出さないやつはギリシア語を読むな」よりも「貧乏人はフリーテキストで読め」の方が、日本における古典ギリシア語の普及のためにも良いのではないか。