燐光群の「カウラの班長会議」を観た。1944年、オーストラリアの田舎町カウラに設置された捕虜収容所で日本人捕虜千人以上が暴動を起こし、脱走を試み、200人以上が死亡した、という実話に取材したものだ。興味深いのは、暴動の理由が、現代の私たちにとっては訳が分からないものだ、ということと、それが、指揮官の命令ではなく、すべての捕虜の無記名投票によっていわば民主的に決定された、ということだ。
燐光群の舞台は事実関係ではネットに載っているような記述をそれほど超える内容はないのだけれど、「カウラ事件」を映画化しようとする映画学校の女子学生たち、というメタな設定を与えることで、このよく分からない悲劇をうまくいまの日本に引きつけたと思う。いろいろと小技も効いている。
彼らのワークショップ風集団演技の部分は僕はいつも白けてしまうのだけれど、今回は(テーマとの関係も深く)効果的だった。赤旗に劇評が出る予定。
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